大阪市阿倍野区の心療内科・精神科・児童精神科
あべのこころの診療所
〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目2-9 ラグランデル1階
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集中力が続かない、落ち着きがない、順番を待てないなどの特性により、日常生活や学校生活に困難を抱える子どもがいます。このような困難の中には、育て方やしつけによるものでも、子どもの努力が足りないわけでもなく、神経発達症群(発達障害)の一つであるADHD(注意欠如・多動症)が背景にあることもあります。
ADHDは、不注意、多動性、衝動性の3症状を主な特徴とする生まれつきの精神疾患で、神経発達症群(詳細は下記をご覧ください)の一つとされています。海外の学術論文では18歳以下で約5%存在すると報告*されています。ADHDは、3つの特徴が通常の発達の水準からすると不相応で普段の生活に直接悪影響を及ぼすほど深刻な場合に一定の基準をもって診断されます。これら3つの特徴は、同時に全て現れるというわけではなく、「不注意」が目立つ場合、「多動性」や「衝動性」が目立つ場合、また全てを併せ持つ場合など、子どもによってさまざまな形で現れます。一方、成長とともに状態が変化することもあり、例えば大人になってその特徴が自然と目立たなくなることがあります。また、成長に伴って、本人が状況に対処する「コツ」のようなものを身につけることで、その特徴が目立たなくなることもあります。しかし、その場合も特徴そのものが、全てなくなるということではありません。
年齢に相応しくない以下のような事象が少なくとも半年以上にわたって続き、日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。
・忘れ物やなくし物が多い
・話しかけても聞いていない
・約束などを忘れてしまう
・すぐに気が散ってしまう
・細かいことを見過ごしてしまう(ケアレスミスが多い)
・課題や遊びなどを途中でやめてしまう
・物事をやり遂げることができない
・順序立てることや整理整頓ができない
・コツコツやること(勉強など)を避けたり、いやいや行う など
年齢に相応しくない以下のような事象が少なくとも半年以上にわたって続き、日常生活に悪影響を及ぼすことがあります。
・手足をそわそわ動かしている
・授業中に席を離れてしまう
・じっとしていられない
・静かにできない
・急に走り出す
・おしゃべりが過ぎる
・質問が終わる前に答えてしまう
・順番を抜かしてしまう
・友だちのしていることをさえぎる など
ADHDの原因は、はっきりとはわかっていません。さまざまな研究より、ADHDは「脳」の前頭葉の働きが弱いために、注意や行動をコントロールすることが難しくなっていると考えられています。前頭葉は、その名の通り前頭に位置し、私たちが論理的に考えたり、整理整頓したり、物事を順序立てて考えたり、そういった働きを司る部分です。
ADHDは、この前頭葉の働きが弱いために、考えることよりも五感からの刺激が優先されてしまい、その結果、五感からの刺激を遮断できず、様々な反応をしてしまうため、集中したり考えたりすることが苦手になってしまう、と考えられています。
生まれつきのものであり、きちんとしたしつけを受けていないことや、また、逆に厳しすぎる養育環境によって、ADHDになるというわけではありません。
ADHDの子どもは困っていることに気づかれにくく、本人の努力不足や親の育て方のせいではないのに、周囲の人から見ると、「わざとやっている」「頑張りが足りない」「しつけが足りない」など不思議な行動だと誤解されたりする場面が多くなりがちです。
しかし、それはADHDの子どもが「わざとやっている」のではなく、ADHDによるものなのです。
例えば・・・
・約束や物を借りたことをうっかり忘れてしまう
→わざとやっている、誠意がないなどと思われがち
・どうしても体が動いてしまう
→落ち着きがない、やる気がないなどと思われがち
・感情のコントロールが難しいため、カッとなったら抑えられない
→乱暴、怒りっぽいと思われがち
ADHDの子どもは、上で記述した事象のため、友だちとトラブルになったり、学校でも孤立したりすることがあります。また、周りの人たちから理解してもらえず、親や先生から叱られることが多くなりがちです。ADHDの子ども自身が困っていることに気づいてもらえず、周りの理解や適切なサポートのない状態が続くと、二次的な問題が起こりやすくなります。
お子さんの行動をみて将来に不安を感じることは、誰にでもあるでしょう。もしお子さんがADHDと診断されたとしても、早期から適切にサポートすることで、自信や自尊心を失わずに社会へうまく適応できるようになる場合があります。そのためには周囲の理解や支援が欠かせません。
・「何をやってもダメ」、「どうせ認めてもらえない」と自信を失い、自尊心が低くなったり、意欲がなくなり、時には部屋に閉じこもったり、学校に行かなくなったり、気分が落ちこみ自分を責めてしまう
・日常生活や学校生活で叱られてばかりいると疎外感やいきどおりがつのり、時には周囲に対して反発したり、物にあたってしまう
ADHDの治療はADHDの症状をなくすことが目標ではありません。子どもがADHDと上手に向き合って、落ち着いた日常生活や学校生活を送れるようにすることを目指します。
また、ADHDの特徴を「自分らしさ」として折り合いをつけたり、逆に「強み」として解釈したりすることで、自信をつけ周囲と良好な関係を築くことができるように成長をサポートしていきましょう。
ADHDの治療には「心理社会的治療」と「薬物治療」があり、一人ひとりに合った治療計画を立てます。 まずは、環境調整などの心理社会的治療から始めて、対人関係能力や、社会性などが身につくような支援を行い、必要に応じて薬物治療も一緒に行います。
子どもが集中しやすいように環境を整えます。ADHDの子どもは生活する環境に影響を受けやすいといわれています。そのため、子ども自身がとるべき行動を理解しやすくなるような環境づくりをしていきます。
・家庭での工夫
勉強に集中できないとき→勉強するときは机の上に余計な物を置かないなど
忘れ物が多いとき→前日に翌日用意する物を書き出してそろえるなど
毎日の生活の流れを安定させたいとき→1日のスケジュール表を貼っておくなど
・学校での工夫
授業に集中したいとき→先生の近くの席にするなど
次やることがわからないとき→指示を書いて示すなど
教室のルールが守れないとき→教室のルールを書いた紙を見えやすい位置に掲示するなど
コンサータ:脳内にドーパミンを増やし、脳の働きをスムーズにしてくれる薬で、速やかに効果が現れ、服用後10時間効果が続くように設計されています。朝7時に飲むと、夕方5時くらいまで効果が持続するので、学校での困り感が強い方の第一選択としています。効果と共に、副作用もはっきり出ることが多いですが、ほとんどの方の場合、半日で効果が切れて、副作用も消失します。そのため、副作用が強くて続けられない場合は、翌日から飲まずに次回の外来に来てください、とお声がけしています。コンサータは登録制の薬であり、コンサータ錠適正流通管理委員会に登録のある適正な医師でしか、院内で調剤できない薬です。当クリニックでは、コンサータを扱っています。
ストラテラ:ストラテラは脳の働きをスムーズにするノルアドレナリンを増やす働きがあり、大脳や脳幹といった中枢神経に働きかけて、精神活動を活発にする薬です。丸一日効果が持続するので、学校と家の両方で困り感が強い方に飲んでいただくことが多い薬剤です。効果が出るのに時間がかかるので、1か月は飲んでみましょうとお話ししています(効果が出るのが早い方もいます)。副作用は比較的軽度です。
インチュニブ:丸一日効果が持続するので、学校と家の両方で困り感が強い方に飲んでいただくことが多い薬剤です。アトモキセチンほど効果が出るのに時間はかからず、効果は分かりやすい印象です。副作用の眠気は、飲み初めに強く出ることがあるため、慣れてくるまで2週間から1か月は眠くなっても飲んでみましょう、とお話しすることがあります。また、夕から夜に内服いただくことで、夜眠りやすく、日中の眠気が軽減することがあります。
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