大阪市阿倍野区の心療内科・精神科・児童精神科
あべのこころの診療所
〒545-0052 大阪府大阪市阿倍野区阿倍野筋5丁目2-9 ラグランデル1階
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うつ状態を経験しつつも、極端に調子が良くなって、活発になる時期がある場合、双極性障害(躁うつ病)かもしれません。
双極性障害では、憂うつで落ち込むうつ状態と、活動的な躁状態をくりかえします。
躁の時期には、眠らなくても平気、アイデアが次々と浮かぶ、大きな買い物やギャンブルで散財するなどの行動が見られますが、とても気分が良いので、本人には病気の自覚がありません。
そのため、うつ期には病院に通院しますが、躁の時期には通院を止めてしまうこともよくあります。
しかし、うつ期だけの治療では、双極性障害を悪化させてしまうことがあります。
気分の変動を自覚していて、自分が双極性障害ではないかと心配な方は、当院までご相談ください。
双極性障害の発症年齢は平均的には20〜30代ですが、中学生から老年期まで幅広い年齢で発症します。
双極性障害には、I型とII型の2つのタイプがあります。双極I型を発症する人は1%以下、双極II型を発症する人は1~2%と言われています。うつ病が5〜10%であることに比べると低頻度です。
診断にあたっては、次のような基準が定められています。
・I型:躁状態(躁病エピソード)の存在
・II型:軽度の躁状態(軽躁病エピソード)と、うつ状態(うつ病エピソード)の存在
躁状態の時は、気分が高揚して爽快に感じられ、自分が偉くなったと感じたり、何でもできるような気持ちになります。睡眠時間も短くなり、一日中、目標に向かって動き続けます。話したい欲求も強まり、相手の迷惑も考えずにしゃべり続けてしまいます。衝動的になって、必要ないものを買い込んだり、高額な買い物をしてしまいます。頭の回転も早くなり、新しい考えが次々に浮かび、いろいろ手を出してしまいますが、一つのことに集中できず、落ち着きがなく、すぐに気が散ってしまいます。思い通りにならないと怒りやすくなり、職場で喧嘩をしてしまうこともあります。
双極I型の躁状態は症状が激しく、入院が必要になったり、放っておくと職業や学業など社会生活に問題が起こるほどです。口数が多くなり、家族が言うことを聞かないと怒り出します。普通はそこまで言わないだろうということまで口にするため、周囲は辛い思いをします。本人は絶対に自分が正しいと思っていて、責め立てられた家族は精神的に追い込まれ、疲れ切ってしまいます。激しい言動のせいで仕事を失ったり、家族に見放されたり、多額の借金を背負うこともあります。躁状態が悪化すると、未来が予知できるなど、現実離れした妄想や、神の声が聞こえるといった幻聴が出てくることもあります。
一方、双極II型の躁状態は軽度であり、いつもより気分が高揚するものの、社会的に問題となることもありません。周りの人からみると、いつもと様子が違うものの、本人にとってはいつもより気分が良いと感じられる程度です。むしろ職場で活躍するなど、望ましいものと受け止められる場合もあります。気分の変化が激しければ双極性障害であるとは限りません。日によって気分が良かったり落ち込んだりするなど感情の起伏しかない場合や、学業や仕事が忙しい時に睡眠時間を削って頑張ったというような体験については、双極性障害ではない可能性もあります。
怒りっぽいだけでも躁状態とは言い切れません。対人関係が不安定なパーソナリティー障害の方が、対人関係で問題が起こった時に、激しく怒ったり、落ち込んだりした時に、軽躁状態やうつ状態と誤解される場合もあります。
双極性障害の躁状態は、気分の変化がしばらく続きます。
I型では1週間以上、II型では4日以上にわたって躁状態が続くことが診断基準となっています。
また、双極II型の診断にあたっては、うつ状態の存在が必要です。
双極I型の方も7割程度がうつ状態を経験すると言われています。
双極I型とII型で、うつ症状に変わりはありません。
うつ状態は、気分の落ち込みと、興味や喜びの喪失が主な症状です。
次の9項目のうち5つ以上を認め、(1)か(2)の症状が2週間以上続いている場合、うつ状態と診断されます。
(1)辛い憂うつ感が一日中つづく
(2)普段興味があったことに関心が持てず、何をしても楽しい感情が湧かない
さらに体の症状として、
(3)睡眠障害
(4)食欲の変化
(5)疲労感
(6)動きの低下(または気持ちの焦り)
精神的な症状として、
(7)自責感
(8)集中力低下
(9)希死念慮
何をするのも億劫で、すぐに疲れてしまい、それまでの人生には何の意味もなかったと考えてしまいます。集中して考えることもできず、物事を決めることも難しくなります。夜はなかなか寝付けず、なんとか眠れても暗いうちから目が覚めて、過去のことを悔やんだり、嫌なことばかり頭に浮かびます。動作も遅くなり、考えが進まない一方で、焦燥感から居ても立っても居られず、目的もなくうろうろと歩き回ります。
双極性障害ではない通常のうつ病では、環境の変化が心理的ストレス要因として発症に関与することがありますが、双極性障害のうつ状態は、はっきりとした理由もなく、毎日つづく気分の落ち込みとして始まる場合もあります。
うつ状態は数週間から数ヶ月続くこともあります。
双極性障害では、うつ状態と躁状態が入り混じった「混合状態」となる場合もあります。
これは、躁状態なのに抑うつ気分が混ざっている場合や、うつ状態になのに焦燥感が高まり、活動性が増加している状況などを指します。
混合状態では、行動性が高まっているため、希死念慮が強くなることに注意が必要です。
また、1年間に4回以上、うつ状態や躁状態を繰り返す場合、急速交代型(ラピッドサイクラー)と呼ばれます。
双極性障害の発症がうつ状態から始まるか、躁状態から始まるかは、およそ半々です。
特に双極II型の方は、躁状態が問題となることはなく、辛いのはうつ状態ですので、そこで初めて受診される場合がほとんどです。
つまり、同じうつ状態で発症していても、うつ病のうつ状態か、双極性障害のうつ状態かを区別する必要があります。
うつ病か双極性障害かの区別が大切になるのは、うつ病と双極性障害で治療薬が異なるためです。
うつ病には抗うつ薬が用いられるのに対して、双極性障害では、抗うつ薬が効きにくく、気分安定薬や非定型抗精神病薬を使うことが一般的です。
もし、それまでに躁状態になったことが確認できれば、双極性障害と診断できます。
しかし、双極性障害の方でも、躁状態の経験がない、または自覚がない場合も多く、そのような場合は、うつ病という診断のもとに治療が進められることになります。
治療経過の中で躁状態が出てくれば、その時に初めて、双極性障害のうつ状態と分かります。
実際、双極性障害の方の4〜6割が、初診時にうつ病と診断されたと報告されています。
逆に、初診時にうつ状態と診断された方の2〜3割が双極性障害であったとの報告もあります。
双極性障害を早期に診断する上で、過活動の時期があったかどうか、また躁状態の診断基準を満たしていなくても、2日以上の短期間に症状が部分的に出現したことがないか確認することが有効です。
情動の不安定さや過眠・過食など、うつ病として非定型な特徴も双極性障害の可能性を示唆しています。
うつ病は、一度治ると再発のリスクは比較的少ないのに対して、双極性障害に伴ううつ状態は再発のリスクが高く、長期的な経過を取る場合もあります。
うつ病の治療では、うつ状態から回復することが治療の目標となりますが、双極性障害の場合は、うつ状態が良くなってからも再発の予防が大切です。
双極性障害(そううつ病)の治療に最も重要なことは、ご本人と周囲の人が病気を理解し、十分な休養をとることです。それは簡単なことのようですが、実際には躁病期には病気の認識(病識)に乏しいことが多く、休養と治療の必要性を簡単には受け入れてもらえないことが多いです。また経済的な理由や、介護など家族関係の理由から本人が実際に休息をとることが難しい場合もあります。当院では、まず病気についての説明を患者さまとご家族さまに行い、ご本人が休息をとるためにどのような環境づくりをしていくかを共に考え、アドバイスさせていただきます。症状の重篤さに応じ、医師が診断書を記載して休職(休学)をしていただく場合もあります。治療期間は非常に治療が上手くいった場合でも最低6〜8週間は必要です。職場復帰に際しては、職場の産業医や人事担当者と相談して、可能な限り馴らしのステップを踏めるように調整します。経済的な問題や、家族関係の問題を抱えていらっしゃる場合には、本人のみならず家族に対し、医師、やスタッフより様々な医療・福祉サービスの活用を提案いたします。
双極性障害(そううつ病)の治療で重要な点は、急性期治療と並んでいかに再発を防止するかということです。双極性障害は再発性であり、再発により社会生活を中断することでの損失は極めて大きいことから考えると、再発予防は最大の課題といえます。再発予防のためには、単に薬物療法を維持すればよいというわけではなく、ご本人、ご家族が双極性障害を十分に理解していただき、再発予防の重要性を認識した上で、症状再燃の兆候を見逃さずに早期に対処することが重要です。
双極I型の躁状態の急性期治療に有効な薬はたくさんあり、それらを用いると躁状態は1~2ヶ月の間に改善する場合があります。
ただ躁状態は、いつもより調子が良いと感じられることも多く、当人が治療の必要性を感じない場合もあるため、どれだけ治療に積極的に取り組めるかが重要です。
気分安定薬であるリチウムやバルプロ酸、カルバマゼピン、また、非定型抗精神病薬であるオランザピン、アリピプラゾール、クエチアピン、リスペリドンなどが用いられます。
躁状態の治療の第一選択はリチウムです。
ただし即効性という観点では、非定型抗精神病薬が優れています。
実際、治療効果が出るまでに、リチウムはオランザピンより10日ほど遅れるという報告もあります。
単剤でも有効ですが、急性期には、気分安定薬と非定型抗精神病薬を組み合わせることで、躁状態を早急に改善させる効果も示されています。
リチウムは天然に存在する無機質であり、多幸感や爽快気分を伴う典型的な躁病の方に効果があります。
2〜3週間の治療で、4〜8割の方で症状が改善します。
副作用として、飲み初めの1週間位は手の震え、下痢・吐き気などが起こります。
徐々に改善していきますが、手の震えだけは続く場合があります。
リチウムは、血中濃度が0.4〜1mmol/Lの範囲で用いますが、1.5mmol/Lを超えると中毒症状として、ふらふらして歩けなくなったり、腎障害により尿を濃縮できず、尿量が増えて口が渇くことがあるため、定期的な血中濃度の測定が必要です。また、長期間の治療によって甲状腺機能低下が起こることがあります。
バルプロ酸は、てんかんの薬として用いられていましたが、気分安定効果をもつことが分かり、双極性障害にも使われるようになりました。躁状態の再発や、不機嫌さが目立つ場合、また混合状態にも効果があり、5割以上の方で症状の改善が認められます。
リチウムと違って即効性があり、治療開始して1週間で効き目が現れる場合もあります。
使い始めに吐き気が生じることがありますが、徐放剤を就寝前に使うことで、副作用が軽減できます。他に体重増加や脱毛が起こる場合があります。
カルバマゼピンもてんかん薬として使われていて、躁状態への有効性が明らかになった薬です。治療効果は1〜2週間後から認められ、約6割の方で症状が改善することが報告されています。効果はリチウムと同程度か、やや弱いと考えられています。副作用として、めまい、吐き気に加え、稀に重症の皮膚炎が起こる可能性があるため、発疹が出た場合は中止する必要があります。
アリピプラゾールは、躁状態を抑える効果があります。
効果の出現も早く、服薬して4日目には症状の改善が認められ、2週間で約4割の方で躁状態が改善します。
副作用として、座ったままでじっとしていられず、そわそわと動き回るアカシジア症状が起こることがあります。
オランザピンは、非定型抗精神病薬の中でも良く使われている薬です。効果も即効性があり、3〜4週間の治療で5〜6割の方で症状の改善が認められます。リチウムやバルプロ酸と同程度の効果が認められます。
気分安定薬で効果がなかった方でも、オランザピンで効果が認められる場合があります。
副作用として、食欲増加とそれに伴う体重増加、血糖値上昇などを来すことがあり、糖尿病の方は使うことができません。
クエチアピンも躁状態を抑える効果があり、即効性が期待できます。3週間の治療で、リチウムと同程度の効果が示されています。副作用として眠気やめまいが起こる場合があります。オランザピンほどではありませんが、体重増加が起こる場合があり、糖尿病の方は使用できません。
リスペリドンも躁状態を抑える効果があります。治療効果は、服薬を開始して3日程で現れる場合もあります。3週間の治療で、約7割の方で症状の改善が認められます。
副作用として、手足が震えたり、体がこわばるといった錐体外路症状に加え、高プロラクチン血症による乳汁分泌や生理不順が起こることがあります。
うつ状態の急性期の治療で有効性が確認されているのが、非定型抗精神病薬であるクエチアピン、ルラシドン、オランザピン、また気分安定薬のリチウム、ラモトリギンです。服薬を6~8週間続けることで、症状の改善が期待できます。
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